自分がスーツを初めて購入したのは、某大手紳士服チェーン店でした。
購入のきっかけは大学の入学式でスーツが必要だったため、親と一緒に街中の看板で目にしていたスーツの専門店で購入しました。
私自身は株式投資もやっているので、大手紳士服チェーンが軒並み赤字転落と言う記事を見て詳しく詳細を調べてみましたが、やはり各社とも厳しい結果が発表されています。
目次
業界最大手の青山商事は、1964年の創業以来、初の赤字転落へ
洋服の青山と言う名称で全国に展開していて、紳士服チェーン店では業界最大手の企業です。
2018年4月の時では4,000円を超える株価でしたが、2019年11月では1,600円台と半分以下に低迷しており、直近の最終利益は年々下落傾向が続いています。
2016年3月期は118億円
2017年3月期は115億円
2018年3月期は114億円
2019年3月期は57億円
そして2020年3月期はついに-20億円の赤字転落の見通しを発表しました。
1964年の創業以来、最終赤字になるのは初めてとのことなので、スーツの需要がいかに低迷しているのかがよくわかります。
AOKIホールディングスは多角化経営で黒字だが、スーツ事業は苦戦が続く
売上高では業界第二位の大手紳士服チェーン店。
売り上げ規模では青山商事とAOKIホールディングスの2社が、3位以下のコナカとはるやまホールディングスを大きく引き離しています。
グループ全体では黒字を確保していますが、肝心のファッション事業は損失を出しており、2018年4月のころは1,700円以上あった株価も、2019年11月では1,100円台に低迷しています。
2016年3月期は97億円
2017年3月期は73億円
2018年3月期は73億円
2019年3月期は46億円
2020年3月期予想は54億円
AOKIホールディングスは多角化経営を行っており、これはスーツ服の販売だけではなく、ブライダル、カラオケ、複合カフェと言ったエンターテイメント事業にも進出しており、漫画喫茶の快活CLUBがAOKIのグループ会社であることを知っている人は少ないでしょう。
スーツの販売減少と言う影響を、他の事業でうまく補う仕組みが出来ているので、ファッション事業が損失を出してもグループ全体としては黒字を確保しています。
コナカもはるやまホールディングスも赤字転落
業界3位のコナカ、業界4位のはるやまホールディングスも赤字決算でした。
両社とも株価は2年前と比べて下落傾向が続いており、大手四社が軒並み赤字転落と言う状況を見ると、紳士服大手チェーン全体が厳しい経営状況に陥っていることがわかります。
スーツ離れは今後も止まらない
スーツは大学の入学式や就職活動をするタイミングで購入する人が多いと思いますが、その肝心の若者の人口は年々減り続けています。
【令和元年11月1日現在(概算値)】
<総人口> 1億2618万人で,前年同月に比べ減少 ▲28万人 (▲0.22%)
【令和元年6月1日現在(確定値)】
<総人口> 1億2625万2千人で,前年同月に比べ減少 ▲25万8千人 (▲0.20%)
・15歳未満人口は 1528万7千人で,前年同月に比べ減少 ▲19万7千人 (▲1.27%)
・15~64歳人口は 7517万8千人で,前年同月に比べ減少 ▲40万3千人 (▲0.53%)
・65歳以上人口は 3578万6千人で,前年同月に比べ増加 34万2千人 ( 0.96%)
<日本人人口> 1億2387万人3千人で,前年同月に比べ減少 ▲45万8千人 (▲0.37%)
統計局ホームページ/人口推計(令和元年(2019年)6月確定値,令和元年(2019年)11月概算値) (2019年11月20日公表)
統計局の発表を見て改めて思いましたが、日本の人口減少はもう待ったなしの状況となっています。
唯一65歳以上の人口は増えていますが、この年代は退職している方がほとんどでスーツを着る年代ではありません。
中には長期休暇がとれるようになったので、クルーズ旅行へ行くためにフォーマル用の服装を作ろうという需要もありますが、そういった方々であれば資産も潤沢にあるため、量販店で作るよりは自分だけのオーダーメイドのスーツを作ろうと思うでしょう。
人手不足のニュースもよく耳にしますが、これだけ人口減少の影響が大きいとわかっていながら、国は高齢者の優遇ばかりしていて、少子化対策をなぜしないのか……?と、私自身本当に疑問に思いますが、こればかりは個人の力ではどうしようもありません。
人口の減少と言う大きな問題は、何もスーツ業界だけに限って言えることではありませんが、今後人口が増える見込みがない以上、全国に店を構える紳士服チェーン店にとって、人口減少は今後経営にかかわる重要な問題となっていきます。
安いスーツは1万円で購入できる時代になり、ユニクロでも品質の高いスーツを購入できるようになった
職場によってはスーツを着ないところもありますし、たまにある会議の為だけにスーツが必要と考えている人であれば、そこまでお金をかけてまでスーツが欲しいとは思わないでしょう。
値段の安さで選ぶ方にとってインパクトが大きかったのが、イオンで販売されている一着一万円から購入できるスーツです。
もちろん生地が薄いだとか、目に見えない部分の裁縫が雑と言った値段相応な部分はありますが、とりあえず着れれば十分と言う考えの方であれば、この1万円のスーツでも十分でしょう。
また大手ユニクロでは、オーダーメイド感覚で選べるビジネスジャケットを販売しており、上質素材Super110’sウールを使用していながら、価格は16,900円から販売しています。
スラックスは既製品を着用となりますが、上下そろえても2万円台で収まり、使用している素材は、私が2着で5万程度でオーダースーツを作った素材よりも良い物を使っています。
実際に購入した方のレビューを見ても、この価格でこの品質はすごいと絶賛しているところが多く、それだけコストパフォーマンスに優れていると評価できます。
このように昔と比べて競合店も多くなり、紳士服業界はますます厳しい競争にさらされていくでしょう。
こだわる方はオーダースーツを選んでいく
せっかく買うならちょっとこだわって作ろうか……と考える人であれば、ネットの広告でオーダースーツの存在を知っていく方が増えてくると思います。
今はスマホで簡単に検索できる時代なので、新聞の折り込みチラシに頼っていた時代とは違い、googleで検索しているうちにオーダースーツっていう選択肢があることに気付く人も増えてきています。
私もその一人でした。
何も知らない状況では、オーダースーツって高いんじゃ??と言う印象がありましたが、実際には1着2万円台で作れるお店も多いので、その価格で自分の体形に合ったスーツが作れるのであれば、オーダースーツで作ろうと思うのは必然です。
あえて紳士服チェーン店で買うメリット
オーダースーツではどうしても納期の日にちがかかってしまうので、既製品のサイズでピッタリ合う方や、冠婚葬祭で明日どうしても必要と言った需要であれば、紳士服チェーン店で買うメリットはあります。
また地方に住んでいる方であれば、オーダースーツを作れるお店は都会に集中しているので、地方にお店を構える紳士服チェーン店はまだまだ必要でしょう。
地方にもオーダースーツを作れるお店はありますが、都会に比べて圧倒的に数が少なく価格も割高な印象があったため、地方に住んでいる人はオーダースーツに興味があっても、実際に作ろうとするには不便に感じている人もいるでしょう。
自分で採寸してネットで申し込む方法もありますが、自分で採寸してネットで注文するのは面倒ですし難易度が高すぎます。
地方に住んでいる人でオーダースーツを作りたいという需要は残っている
もし地元にある大手紳士服のチェーン店で、同じように1着2万前後でオーダースーツが作れるのであれば、わざわざ県外のお店に足を運ぶことはなく、地元で作成しようと思う方も出てくるのでは?と思います。
納期が長くなっても、納得いくものが欲しいと思う人は都会と同じくらいいるはずです。
もちろん採寸できる人の人材の採用など課題もあるとは思いますが、そこで満足する商品が出来たのであれば、次に作る時も同じお店で作るでしょう。
個人的な意見ではありますが、せっかくスーツ専門店と掲げているのであれば、閉店セールで客を集めるばかりではなく、地方に住んでいる人でもオーダースーツを手軽な金額で作れる選択肢を用意しても良いのでは?と思いました。